『びずめし』導入は、社員と地域の交流を生み出すため。 人材育成ツールとして期待する『びずめし』

びずめし

社食サービス「びずめし」導入事例 〜Vol.2〜「勝又自動車株式会社」(千葉市・中央区)

2021年2月より、本格始動した社食提供サービス「びずめし」。全国16,000以上の飲食店が参加する「ごちめし」のシステムを基盤とし、オフィスの近くで、在宅勤務中は自宅の周辺、さらには営業先や出張先の街でも、身近な飲食店が社食として利用できる新たなサービスです。

今回お話を伺った勝又隆一さんは、千葉県で自動車学校や自動車点検整備を行う勝又自動車株式会社の代表取締役社長。そして、勝又自動車を中枢とした勝又グループは、千葉、埼玉、東京でトヨタ車のディーラーを運営しています。同社では、“社員を会社の外に出て地域に触れてもらう”ため「びずめし」を導入。その真意とはいったい? Gigiの代表である今井了介が直接お話を伺いました。

今回お話を聞かせていただいた勝又隆一 代表取締役社長

勝又自動車株式会社について

住所:千葉市中央区本町2-2-10 設立:大正14年6月 社員:230名(2021年4月1日時点) 資本金 2000万円

千葉県に本社を置き、自動車学校の運営や自動車点検整備を業務としている。また、千葉、埼玉、東京のトヨタ車のディーラー5社を運営している。

地元のことを知るために「びずめし」を導入

今井了介(以下:今井):「勝又自動車さんでの『びずめし』の導入は、勝又社長が推し進めていただいたということですが、きっかけは何だったんでしょうか?」

勝又隆一社長(以下:勝又社長):「今回導入したわけですが、理由としては、会社がある街のことを、もっと社員に知ってもらうため。『びずめし』でのランチや夜食をきっかけに、外へ出てほしかったからです」

今井:「最初から興味深いお話ですね(笑)。そもそも、『びずめし』導入前はみなさんランチをどうされていたんでしょうか?」

勝又社長:「導入前は、コンビニか手作りのお弁当、外に出るにしても徒歩5分圏内ぐらいの決まったお店でパパッと済ませる社員が多かったんです。でもそれはもったいないと感じていて。『びずめし』によって街が社食になり外に出ることで、『街を知り』『学びを得て』『考え』『行動する』という経験を、もっとしてほしくて」

今井:「単なる社食ではなく、学びや思考の機会ということですか? ユニークな捉え方ですね。勝又社長の経営哲学に関係がありそうな……」

勝又社長:「平常時の社会において、企業のトップには強いリーダーシップが求められると考えます。変化が乏しい中で、トップダウンで色々なところを壊してテコ入れしていく。でも、新型コロナの影響がある今みたいな混乱期にそれは必要ない。むしろ、社員各々が気づきを得て、ボトムアップで変化をさせたり、新しいアイデアを生み出したりが理想です」

今井:「簡単なことではないんですよね。そのためには、問題点を探る意識や考える力が各々に必要になってくる……。なるほど、自動車の修理や販売などで地域の人たちと関わる勝又自動車さんとしては、街に出てインプットしたりする機会がとても大切だということでしょうか」

勝又社長:「そうなんです。街へ出ると『あそこはいつも同じ店員さんだな』とか『あの子はこの時間に外で立っているよね』といった光景が目に入る。そこから『なんであの子は外で立っているんだろ?』といった疑問に繋がり、調べてみるとおもしろいことが見えてきたりする。くだらないことでいいんです。大事なのは気づきを得ること。今年4月に社長として勝又自動車に赴任してきて、街を知るため、今年中に近隣にある100件のお店を回ろうと決めているんです。意外とたくさんのお店があるのがわかったんですが、社員に『ここ行ったことある?』と聞いてもたいてい『知らないです』と言われて。つまり、自分たちの街をあまり知らない社員もいるということ。自動車の修理や売買を通して、地元の方々と繋がる我々としては、これは変えていきたいなと」

今井:「自分の住む街や働く街を知ってもらうというのは『びずめし』の目的の一つです。自分で言うのもなんですが、結果的に『びずめし』のコンセプトと勝又社長のお考えがぴったり重なったわけですね(笑)」

勝又社長:「まさにその通りです。社員が外に出て学べるよう、街を社食にできないかと『びずめし』と同じことを考えていて。ただ、いざやろうとすると経理が超絶に面倒だと気づいて……。それで、縁のあるトヨタファイナンスに相談に行ったら『びずめし』のことを教えてもらって『あるじゃん!!』みたいな(笑)」

若い社員が気づいたチェーン以外の美味しいお店

「ごちめし」と勝又社長の導入への想いの共通点を知り盛り上がる2人

今井:「ありがたいですね! ちなみに『びずめし』を導入して社員さんに変化は感じますか?」

勝又社長:「変化というか衝撃だったのは、若い男性社員が『チェーン以外でも美味しいお店があるんですね』と言ってきたこと。うちでは『びずめし』をチェーン店では使わないルールにしています。地元の飲食店に貢献したかったし、社員に地元ならではを知ってもらいたかったから。それで男性社員に『でも補助がないと行かないんじゃない?』と聞いたら『なくても行きたいです』と言ってくれて。それも私が大事にしたい“気づき”の一つなので嬉しかったです」

今井:「まさにそれって『びずめし』の基盤システムである『ごちめし』が生まれるきっかけなんですよ! お客さんが別の人の分のお金を払って “ごちる”というシステムは、元々は北海道の『結(ゆい)』というお店が実施されていたんです。店主は本間さんという方で、帯広に帰郷された際に、地元の子達がコンビニやファストフードなどの画一的な味を『美味しい』と言って食べるのを目にした。それで、地元の美味しい食材を知ってもらいたいと定食屋をオープンさせ、誰でも無料で食べられるようにと、お客さんが多めに払った金額で食べられるメニューを『ゴチメシ』と称してホワイトボードに書くようになった。僕はネットニュースでそれを知って、本間さんに会いに行き『ゴチメシ』のシステムをデジタルで構築していいかの許可と、アドバイスをいただきに行ったのが始まりです」

勝又社長:「私が求めていたことと本当に一緒なんですね(笑)」

今井:「もちろんチェーンが悪いわけではない。投資と企業努力によって、美味しいを作り上げているのはものすごいことですから。でも、それがすべてではないことを知らない人もいるんですよね」

勝又社長:「ほかに社員が使った感想だと『同僚との会話が増えた』『びずめしの画面を店員さんに見せたら“勝又さんの社員さんなのね”“いつもありがとう”と言われ、会社が知られた存在なんだと思えた』『自動車を買ってもらうきっかけになった』といった声がありましたね」

今井:「社内コミュニケーションの一助になるのは嬉しいことだし、自分の会社が有名だと感じるのは帰属意識ややる気に繋がりますね! それに自動車販売に繋がったというのがすごい!」

「同僚の知らなかった一面を知れた」など導入による変化を挙げてくれた社員の綿引桃花さんと関根美恵さん

「びずめし」が自動車販売につながらなくてもいい

勝又社長が「びずめし」に最も期待することが、とても興味深い

勝又社長:「正直なところ、『びずめし』の短期的な成果として、車が売れる売れないは重要だと考えていません。大切なのは、地元の方々をもっと知る。そのうえで信頼関係をつくることです」

今井:「まずは人間関係があり。会えばちょっと話す、仲良くなるとか、というところから、ふと『困ったな……』というときに顔が浮かぶ存在になることが大切だと」

勝又社長:「そうなんです。例えば自動車の営業マンって、引っ越してこられたご家庭があると、新車のチラシを渡しにうかがいます。新しい家に見合うよう新車を求める人は多く、それが営業のセオリーだから。でも実は、引っ越してきたお客様が最初に困るのって、登録ナンバーの変更と、車が壊れたときの相談先をどうしようか。車でなくても、引っ越したばかりって美容室やクリーニング店を探したりしますよね? だから新車の販売より大切なのは、困ったときに顔を思い出してもらえること。何かあったら声をかけてくれるかもしれないし、その人がいずれ、本当に車を探している人を紹介してくれるかもしれない。何より、売買から始まる関係ってちょっと寂しくないですか? だから、先ほどお話しした『びずめし』の導入による変化は『自動車を買ってもらうきっかけになった』よりも『勝又さんの社員さんなのね』『いつもありがとう』みたいに、地元の方と繋がるきっかけになったことの方が嬉しいんです」

今井:「僕も30年通うお蕎麦屋さんに、びずめしの画面を見せたら『え、びずめしの会社(Gigi)ってあんたのところなの?』って驚かれたことがありましたね(笑)。それまで『ごちそうさま』程度の関係だったのが、自分を知ってもらえるようになって」

「でも蕎麦屋の店員さんは、僕が音楽関係者だとは知らず、スタートアップの代表だと思っているはず(笑)」

勝又社長:「お店の人が、お客さんを認識するツールにもなるのが面白いですよね。『びずめし』はまだ始まったばかりなので、お店の人も使い方がわからないという話も含めて(笑)」

今井:「そこは……今後いっそう頑張らせていただきます(笑)」

勝又社長:「『びずめし』の登録店もこれからの部分もあるので、我々が広げるのも面白いんじゃないかと思っているんですよ。それはGigiさんのためじゃなくて、我々が店に『やりませんか?』っていうことが勝又自動車の営業になる。名刺も置いていけるじゃないですか。『びずめし』というシステムも、採用店舗を僕たちが千葉で広げることも、自己紹介するツールとして使えるわけです。飲食店ではないですが、知り合いの社長とかに『びずめし』を導入してみたら?とオススメすることもありますし」

福利厚生でなく人材育成のための投資

利用プランの理由から、勝又社長の人間関係への想いまで話が広がる

今井:「勝又自動車さんに店舗開拓のインセンティブを差し上げなきゃって思えてきました(笑)。でも本当に、“会社” “社員”“地元の飲食店”の三方よしは、我々が描くビジョンなので、すごくありがたいお言葉です。ところで『びずめし』が利用プランを細かくカスタムできる中で、勝又自動車さんでは“毎月5000円を上限に、30%割引で食事ができる”という設定をされています。このプランはどうやって決められたんですか?」

勝又社長:「月に利用できる金額は、多すぎず少なすぎずだと5000円ぐらいかなと。それで、30%の割引としたのには明確に理由があって、自分の身を切らないと学びにならないからです。お金のやり取りがあるからこそ両者が真剣になる。無料だと学びがないと思っているので。福利厚生という意味合いは私の中ではすごく薄いですね。どちらかというと人材育成のための投資。だから、割引率はそれほど気にしていなくて、30%なら月に20日稼働の半分ぐらいは外に出てくれるかな?ぐらい。『びずめし』には、社員が人間としても企業人としても成長できるためのツールとしての働きに期待しています」

今井:「なるほど。『びずめし』って、チケットの発券の仕方や割引率の設定に、経営陣の思考が現れると思っていまして。今回、勝又社長のお考えもすごく興味深かったです。最後に、勝又社長は“人と人の繋がり”をすごく大切にされているように見受けられますが、それを意識するようになったきっかけを聞かせていただきたいです」

勝又社長:「おそらく大きく2つあって。そもそも私が父親といたことで繋がった人脈というのがあって。でも、ディーラーに所属している時期には、『車を買って』『じゃあ安くして』みたいな関係になるのが嫌で、ほとんど使わず意識もしていませんでした。けど、勝又自動車の代表になって、いろんな人たちに話を聞く機会が増えて。そうすると業界が違ってもみなさんプロで、いろんなことを教えてもらい、いろんな人と出会わせてもらえて。それってすごく価値のあるものなんだと思えるようになった。もう一つは、人もモノもすべてが繋がっているのを知ったというか。意識していないとその繋がりは見えないけど、意識すればちょっとずつ見えてくる。何かを解決しなければいけないときに、解決に導いてくれる人、ヒントをくれる人って、実はすぐそばにいたりするんですよね。そうした経験から、人と繋がることの大切さをことさら意識するようになりました」

今井:「とても興味深いお話しですね。すみません、本日は『びずめし』のお話しだったはずですが、有意義な仕事論みたいになってしまいましたね(笑)」

勝又社長 プロフィール

勝又隆一(かつまた りゅういち)千葉県出身。「勝又自動車株式会社」代表取締役社長。勝又自動車の創業者である勝又豊次郎の孫であり、2021年に3代目として代表に就任。ほか、袖ヶ浦カンツリークラブ袖ヶ浦コース理事、千葉テレビ放送株式会社監査役、株式会社ベイエフエム社外取締役、オートマジカ代表取締役社長なども務める。

びずめし」導入事例 〜Vol.1〜「キャンプ女子株式会社」

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