2025年6月6日(金)、渋谷のランドマーク「MAGNET by SHIBUYA109」で開催された「AI BB東京 夏」において、Gigi株式会社代表取締役の今井了介がパネルセッションに登壇しました。テーマは「AI × クリエイター 〜未来を拓く新たなクリエイティブの潮流〜」。ファシリテーターを務めたMicrosoft Asiaの加藤友哉氏、ショートドラマ界で活躍する株式会社GOKKO COO/統括プロデューサーの志村優氏とともに、音楽・映像・デジタルビジネスの第一線で磨き上げてきたクリエイティブの知見を交えつつ、生成AIがもたらす変革と課題を縦横に語り合いました。
“ゼロから作る”時代の終焉と“磨き込み”へのシフト
冒頭、今井は「Copilotの登場でゼロから資料を作る負担が激減した」と切り出し、資料作成やブレインストーミングをAIに任せることで「意思決定とクオリティアップという本質業務に集中できるようになった」と語りました。
音楽制作におけるAI活用ー締切を“一日延ばせる”ほどのインパクト
今井は、仮歌のためにボーカリストを手配する必要がなくなり、「AIで女性ボーカルのデモが完成する。“締切を1日稼げる”という実感がある」と話します。さらに、AIが1日で30〜40曲のメロディを自動生成し、その中から人間が選び、磨き上げていくという新たな制作スタイルも紹介。AIは、音楽制作のスピードと選択肢を飛躍的に広げる存在として、今やクリエイターにとって欠かせないツールになりつつあります。
ショートドラマの量産を支える“個性を持つAI”
志村氏は、TikTokを中心に年間約2,000本のショートドラマを制作する中で、AIによる脚本生成と構成整理の活用が非常に効果的だったと語ります。自身の論理や思考パターンをAIに学習させることで、「自分らしさ」を保ちながら、スピード感を持って大量のストーリーを生み出すことが可能に。そのプロセスこそが、AIと人との“共創”であると語られました。
著作権・倫理のゆらぎ──創造物の責任は誰が負うのか
生成AIの活用が進む一方で、著作権や倫理をめぐる懸念も浮上しています。今井は「AIを使って生まれた作品でも、最終的にクリエイティブに責任を持つのは人間」と断言し、「誰でもプロになれる時代だからこそ“なぜそれを表現するのか”という動機が問われている」と強調しました。
Gigiが描くこれから──AIと“人間主導”のハイブリッド創造
セッション終盤では、「AIを敵視するのではなく、ツールとして味方につける視点が必要」という共通認識が示されました。今井は、自身の思考プロセスを記録・整理できるツール「Obsidian」を使い、AIに“自分の発想の癖”を学習させる取り組みを紹介。創作のスピードと幅が飛躍的に拡大する一方で、「人間にしかできない“判断”と“想い”こそが、より重要になっていく」と締めくくりました。
終わりに
AIは制作工程を民主化し、圧倒的な速度と規模でクリエイティブを拡張する一方で、「人間ならではの判断と情熱」をこれまで以上に浮き彫りにしています。今井のメッセージは、“AI主導”ではなく“人間主導×AI加速”を掲げる弊社の姿勢を体現するものでした。私たちは今後も、テクノロジーを味方につけながら、人間らしい社会的創造を軸に新たな挑戦を続けてまいります。
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